人生後半のイベントに備えるシリーズ第4回「 うつ病になったら」

うつ病を含んだメンタル障害は、「4人に一人が一生のうち一度は発症する」と言われています。
人生も後半を迎えて、仕事や家庭で大きなプレッシャーがかかることが多くなりメンタル障害が発症しやすくなってきます。

今回は、うつ病とその治療について、また支援制度について解説します。

うつ病とその治療

うつ病で現れる症状

「うつ病は心の風邪」と言われることもあります。ストレスが大きく耐えられない状況に置かれたときに、生まれつき人間の体が持つ防御作用が働いたとも言えます。
以下の症状はうつ病になった方に典型的に現れてくる症状です。

  • 病的にひどくふさぎこんだり、落ち込んだりする。
  • 気分の落ち込みが夜寝ても解消せず、半月以上続く。
  • 1日の中で、特に朝起きるのがつらいが、夕方以降ましになる。
  • 自分の好きなこと(趣味)をしていても気が晴れず楽しくない。
  • 友達と会いたくなくなり、引きこもるようになる。

これらの症状が出ているときは、専門家への相談や医療機関による治療を考えてください。

良い医療機関を探して治療する

うつ病の治療を支えてくれる病院選びはとても大切です。治療して復職するまでは最短でも半年はかかります。通常は年単位の長い取り組みになります。そのため、自宅や職場から無理せず通えるアクセスの良さが重要となります。

また社員50人以上の会社には、”産業医”という労働者の健康管理等について専門的な指導・助言を行う医師を選任することが義務付けられていますので、この産業医に相談して病院を紹介してもらうのが良いでしょう。この場合は産業医に紹介状を作成してもらいましょう。
会社によっては、産業医のほかに保健師等の専門家や外部の相談機関を設置している事があります。まずはこれらに相談することもできます。

診察を受けるために、まず電話して初診の予約を取る必要がある医療機関がほとんどです。この電話対応の印象が良くないと感じた場合は受診を止め他の医療機関を選んだほうが良いです。

初診の時には、以下の自分の状況について、簡単なメモ(スマホでも可)にまとめておくと心の負担を減らせて良いです。またご家族が診察に同席していただける場合は、口頭で伝えてご家族にメモしてもらう形でも構いません。

メモすること 回答の例
今一番困っていること 夜、なかなか寝付けない。
いつから困っているか 連休明けから。
いつ頃つらいか(1週間・1日) 月曜朝が一番つらい
仕事や生活への影響 朝起きられない。仕事が手につかない。
家族構成 夫婦と中学生の娘一人。
食事 食欲がほとんどない。

「特に医師にこれを伝えたい」と思っていることを伝えるようにしましょう。また初診の時は、初めて会う医師に自分の話をすることになります。緊張してうまく話せなくて当たり前ですし、医師もうまく話せないと思っていますので安心して受診してください。

うつ病の薬が効き始めるのに半月ほどかかり、それからある程度まで動けるようになるまで2ヶ月ほどかかります。その後に復帰に向けてリハビリを半年くらいかけて行います。
最近は、リハビリ期間に再発防止治療としてリワーク(職場復帰)プログラムを行う医療機関も増えてきています。

また将来振り返る可能性もあるため、かかった病院、飲んだ薬、それまでの経過等を簡単な形でも良いのでメモを取っておくことをお勧めします。お薬手帳の余白に書く程度でも構いません。

様々な支援制度

まじめな方ほど、「長期間休むなんて会社に迷惑をかけることはできない」と考えてしまいます。うつの場合は特にそうなる傾向が高いです。ですが、少なくとも症状が改善するまでは大きな決断はしてはいけません。

傷病手当金

会社の健康保険に加入している方ならば、連続して3日間休んだ後、4日目から最長1年6ヶ月の間「傷病手当金」が支給されます。
なお、「連続して3日間休んだ」には、有給休暇、土曜日曜や祝日のため休んだ場合も含みます。

傷病手当金の1日当たりの支給額は、休む前の月給を45で割った額(正確には「支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均額を30で割り10円未満を四捨五入した額に、さらに3分の2をかけ小数点未満を四捨五入した額」)になります。

また、社員が病気等で働けなくなり休職をした時でも、一定期間は給与の一部を支給する決まりがある会社があります。このようなときは、給与のほうが傷病手当金より少額ならばその差額が支給されます。

自立支援医療制度と高額医療費制度

医療機関にかかった時は、健康保険により医療費の3割相当額を自己負担します。うつ病は通院を長期間続ける事が多く、医療費の負担が大きくなります。
このような場合は負担を低減させる「自立支援医療」制度の対象になることができます。市区町村の窓口で医師の診断書を添えて申し込無事が必要で、認められると「受給者証」が発行されます。なお、収入が高い場合などは認められない場合もありますj。

認められた場合の自己負担の限度は、世帯収入により計算される住民税の税額によって、月五千円からかかった医療費の1割まで幅がありますので、各自治体で確認してください。また、入院などで高額の医療費がかかる場合は、高額医療費制度の適用を受けることも可能です。

障害年金

うつ病は症状によっては障害と認められる場合があります。始めて医師の診断を受けた日から1年6ヵ月が経った日の状態で判断され、一定以上の障害と認められたときは、申請すると「障害年金」が支給されます。

障害年金は、障害基礎年金と障害厚生年金とに分かれています。障害基礎年金は老齢基礎年金の満額と同じ年額77万9300円です。また障害厚生年金はそれまでの収入により異なります。
なお、老齢年金と異なり障害年金には所得税がかかりません。

医師の診断書と本人の申立書等を年金事務所に提出して申請します。


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