消費税が10%になるにあたっての対策

はじめに

2019年10月1日以降、消費税率は現在の8%から10%へと引き上げられる予定であり、政府は消費増税の実施に向け経済運営に万全を期すとの意向を示しました。

米中貿易戦争や英国の欧州連合離脱など、国際情勢の先行き不透明感が強く、日本の経済情勢は決して万全とは言えません。にもかかわらず、政府が先の意向を示したのは今回の消費増税対策を「消費増税の実質的な無効化」とみているからです。では、消費増税を実質的に無効化できる対策をみていきましょう。

消費増税を実質的に無効化できる対策

一般に、消費税が増税されると、家計の負担は物価上昇に伴い実質所得が減少すると捉えられています。つまり、今回の消費増税分2%により家計の所得は2%減少することになります。

それに対し、政府は以下の対策をとり消費増税に伴う2%の物価上昇分を相殺させようとしています。

  • 軽減税率の適用
  • 消費税率引き上げと同時に実施される幼児教育無償化
  • 高等教育無償化(2020年4月からの実施予定)
  • 通信会社が求められている携帯電話料金値下げ

これらは、今までの時限的な対策とは違い恒久的な今回の消費増税対策です。一方で、今回の消費増税対策として新たに導入されるキャッシュレス決済時のポイント還元や、住宅ローン減税、自動車取得税の軽減は時限措置に該当します。

さて、消費増税を実質的に無効化できる対策のなかで、日本で初めて導入される軽減税率について詳しくみてみます。消費税は1989年に3%ではじまってから、どんな商品・サービスでも同じ税率で統一されていましたが、2019年10月1日以降購入する物品により税率が異なることになります。消費者としては出来るだけ8%の商品を買いたいと思うし、お店は本来8%の商品を10%で販売してしまったら大変なことになります。

軽減税率導入により生活や仕事上どうなるのか、確認していきたいと思います。

軽減税率とは

1.軽減税率の概要

生活必需品などの商品に限り消費税率を低くする仕組みであり、増税後に低所得者が生活必需品などの商品の購入にかかる負担が重くなって生活が苦しくならないように配慮するのが目的です。消費税は商品に一律に課税されるので、低所得者層ほど税負担を感じやすくなります。そこで軽減税率を取り入れ、低所得者層の税負担を和らげようとするのです。

軽減税率対象は、外食や酒を除く飲食料品と一定の新聞です。

2.具体的な軽減税率の対象品目

A 飲食料品

ビール、日本酒、ワインなど酒類は軽減税率の対象にならないので、10%の税率が課税されます。レストランや定食屋で食事をする時の支払いも軽減税率の対象になりません。

酒類以外の飲食料品をスーパーやコンビニエンスストア、青果店、鮮魚店で購入する場合。原則すべて軽減税率の対象となり、8%の税率が適用されます。

魚や野菜のような食材でも、調理され販売されているそれらの天ぷらであっても軽減税率の対象となります。おやつやジュース、さらには高級食材であるアワビも軽減税率の対象となります。

外食の判断

食事を提供する業者が用意した場所で飲食すれば外食とみなされます。ファーストフード店の店内でフィッシュバーガーを買って食べると外食とみなされ、10%の税率が課税されるが、同じフィッシュバーガーをテイクアウトして家で食べたり、店を出て近くのベンチで食べたりするとそれは外食とみなされず、8%の軽減税率で済みます。

軽減税率が導入されると、店内で食べるか持ち帰るかで支払う金額が変わるので、店員から店内か持ち帰りか尋ねられることになります。

また、食事を提供する業者が顧客の指定する場所に出張サービスするケータリングは10%の課税対象となります。但し、有料老人ホームへの飲食料品の提供は軽減税率の対象となります。

B 新聞

公共性の高い報道は民主主義に不可欠との理由で、原則、軽減税率の対象となります。原則というのは、定期購読の契約を結んでいることが条件だからです。契約期間は短くても週2日以上発行されれば軽減税率の対象となりますが、週1回や隔週しか発行しない新聞などは軽減税率の対象から外れます。

C 複数の税率が混在するケースに注意

新たに導入される軽減税率の対象となるのは、酒と外食を除く飲食料品すべてと、一定の新聞です。従って、文房具、衣料品、家具等は軽減税率の対象から外れます。

混乱するのは、買い物に複数の税率が混在するケースです。例えば、レストランで千円の食事をしてお土産に千円の折り詰めを購入した場合どうなるか。レストランで食べた料理は10%の消費税が課税され、お土産の折り詰めは軽減税率の対象になるので、総額1,000 X(110%+108%)=2,180円をレストランに払います。会計の際、それぞれの税率を確認した方が良さそうです。

また、コンビニエンスストアで水道料金を支払うと同時にミネラルウォーターを購入した場合には、水道水は軽減税率の対象から外れ、ミネラルウォーターは軽減税率の対象となります。

更には、スーパーで飲食料品と日用品をまとめて購入する場合、例えば、野菜ジュース、ジャム、肉類、ビール、トイレットペーパーを購入するケースだ。ビールとトイレットペーパーには通常の10%の消費税が課税されます。

D 一体資産の取り扱い

飲食料品と食器、飲食料品と玩具のセット商品等は基本ルールを定めています。本体価格が1万円を超えると軽減税率の対象から外れます。価格1万円以下であることに加えて、商品の価格の3分の2以上を飲食料品が占めることが軽減税率を適用する条件となります。

例えば、3,000円の玩具付きお菓子のセット商品の取り扱いを考えてみましょう。価格が1万円以下なので、最初の条件はクリアしています。3,000円のうち玩具の価格が1,000円を下回れば、お菓子の部分が2,000円を超えるため、二つ目の条件もクリアしているので3,000円が軽減税率の対象となります。

同じ値段の玩具付きお菓子のセット商品でも、玩具の価格が1,000円を超えると、お菓子の部分が2,000円未満となり、お菓子の部分は全体の3分の2に届きません。そのため、二つ目の条件をクリアしていないので軽減税率の対象とならず、支払総額は、3,000円X110%=3,300円になります。

飲食料品と玩具を切り離して価格設定されていれば、飲食料品の部分は1万円を超えていても上限はないので、飲食料品の部分は軽減税率が適用されます。

 


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