パパ
FP先生
国税庁が行っている平成29年度「民間給与実態統計調査」によると、年収800万円超900万円以下のパーセンテージはおよそ2.9%となっており、誰にでも達成できる金額ではありません。
しかしその分経済的自由度は高く、年収800万円以上の人が新築マンションや注文住宅を購入する割合は、年収が600万円や400万円の人よりも高いとする調査結果もあります。
とはいえ、年収が増えることにより税額も増大するので、計算なくお金を使い続ければ、老後に不安を招く可能性もあります。
今回は、そんな年収800万円以上の方々が考えるべきライフプランについてご紹介します。
年収800万円という金額は、細かく計算するにはちょっと大きい金額である
年収800万円の方がライフプランを考える場合、基本的にお金を貯めることよりも「使う」ことに重きを置く必要があります。
稼ぐ額が大きい分、何に対してお金を使う可能性があるのかをイメージしておかないと、時間が経過していくうちに「いつの間にか生活がカツカツ」という事態を引き起こす可能性があるからです。
住宅を購入するケースで考えてみる
購入するものが例えば住宅だったとして、毎月のランニングコストをいくらに設定するのかも含めて考えると、収入が大きい分「何とかなるだろう」という考えが頭をよぎることも珍しくありません。
しかし、だからといって考えなしにローンを組むのは問題で、将来自分が同じ年収をキープできるのかどうかも含めて検討する必要があるのです。
住宅を購入する場合、大ざっぱに考えて以下のようなケースが考えられます。
・現金で一括購入
・頭金を用意し、残りはローンで支払い
・全額をローンで支払い
上記を見比べると、現金で購入するために貯金するよりも、ローンを組む方法が現実的だと考える方は多いと思います。
そこで、借入可能額を考える前に、まずは月々いくらなら無理なく返済できるかを計算します。
仮に年収800万円で返済額を試算した場合、以下のような計算ができます。
【800万円×35%(住宅費用充当率)÷12(ヶ月)=約23万3000円】
この公式上における「35%」という数字は、年収の何割を住宅費用に充てられるかを概算する場合に使われる一般的な数字だと、とりあえずここでは便宜上考えてください。
こうして算出された数字をベースに、借入限度額を計算してみましょう。
借入限度額は、
【毎月の返済額÷1000万円あたりの毎月返済額×1000万円】
という公式で算出されます。
すると、
【23万3000円÷4万2160円×1000万円=約5526万円】
(金利3%、返済期間30年で計算)
という借入限度額の概算が成り立ちます。
物件の総額を考えた際に、借入限度額に頭金をプラスした額が購入できる物件の上限額となりますから、6000万円超の物件を購入することは十分可能です。
しかし、ここで大風呂敷を広げると、後々ローン返済において首が回らなくなる可能性もあります。
パパ
収入はどこまで安定しているのか
平成29年度「民間給与実態統計調査」における、『1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与』を業種別に見てみると、業種によって給与にバラつきがあることが分かります。
※参考URL:https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2017/pdf/001.pdf(21ページ)
それはつまり、同業種で継続して今の役職・仕事に就けるならまだしも、何らかの理由で転職を余儀なくされた場合、年収が下がってしまう可能性もあるということです。
電気・ガス・熱供給・水道業のようなインフラ系なら平均給与608万円となりますが、宿泊・飲食サービス業となると平均給与236万円となり、最大で372万円の差が生じることになります。
これを踏まえると、極力手元に残るお金は工面しつつ、無理なくローンを支払える選択肢を選んだ方が確実であると分かります。
月額23万円を支払うことを想定するのと、頭金を支払って月額12万円を支払うことを想定するのとでは、後々の負担感がまるで違います。
最低限必要な設備・立地条件などを十分考慮し、できるだけお手頃な値段で購入することを検討した方が賢い選択です。
ママ
給与以外の収入によって年収800万円を実現しているのか
本業の他に副業を行い収入を得ている人は年々増えてきており、厚生労働省でも副業を本格的に促進する動きを見せています。
ライフプランを考えるうえで、今後副業の有無は大きなポイントになるでしょう。
会社員としての給与に依存していると、業績によっては収入が減少してしまう可能性も十分あります。
その点、副業において安定的な収入が見込めるのであれば、大幅な収入減を防ぐ保険の役割を果たします。
仮に本業で700万円、副業として行っている投資で100万円の収入を得られているものと考えた場合、本業での収入が半減しても400万円台の収入は確保できる計算になります。
よって、仮に年収が大幅に下がったとしても支払えるローンの金額を算定するにあたり、目安となる金額を現年収の半額と仮定しておけば、余った分は貯金や投資に回せますし、減ったとしてもローンの支払いに影響を及ぼすことはありません。
自分が何に収入を依存しているのかを考えることが、堅実なライフプランを検討する第一歩です。
FP先生
年収800万円以上なら、何人の子供を養えるのか
そもそも、年収が800万円以上継続的に得られるのであれば、住宅ローンを支払いつつ、子ども2人を大学に進学させるのは十分に可能です。
希望すれば、子どもを3人以上育てることもできなくはありませんから、賑やかで楽しい家庭をつくれそうですね。
しかし、ここでも「お金の使い方」が問われます。
公立であろうと私立であろうと、子どもが増えれば増えるほど教育費が重なる期間が長くなることは頭に留めておきましょう。
仮に3人の子供が年子だった場合、3人揃って大学に通うことも想定しておかなければなりません。
そうなると、学費も授業料だけで150万円以上が飛んでいく可能性さえあります。
800万円という年収であれば支払い自体は可能でしょうが、決して楽な額ではありません。
将来的に子ども全員を大学にやる覚悟を決めているなら、マイホームは子どもが独立した後に考えなければならないかもしれません。
ママ
パパ
年収800万円世帯が生命保険に加入する場合の目安とは
年収800万円で子どもが3~4人いる家庭では、必要保障額は約1億1000万円程度が目安になり、毎月の掛け金もその分家計を圧迫します。
ここでも、子どもの教育資金を優先するのか、それとも収入が一時的になくなってしまった場合に備えるのか、大黒柱が亡くなってしまった場合に備えるのかなど、複数の選択肢があります。
学資保険を選んだ場合、契約者が払い込み中に亡くなってしまったとしても、それ以降の支払いが免除されます。
そのため、夫婦両方が働いているなら、当座の学資保険を確保するのに学資保険を選択するのがベターかもしれません。
しかし、専業主婦(夫)の場合であれば、それに加えて収入保障保険や死亡定期保険への加入を検討することになります。
家族にとって何を優先させるべきなのかを考慮しつつ、保険を組み立てる必要があるでしょう。
FP先生
不安があれば、FPに気軽に相談してくださいね。