FP 國弘
今回は、それぞれの生命保険についてどのような特徴があるか基本的な部分を説明していきます。
法人保険とは?加入する主な目的
法人保険と個人保険との違い
法人で加入する保険は、生命保険そして損害保険のいずれも一般消費者向けに販売されている保険と機能的には何も変わりません。
けれど加入する目的で考えて行くと実際は違ってきます。
経営者(会社)が抱えるリスクや問題に対して、加入目的を理解して検討するのがベストです。
加入する主な目的
加入する主な目的としては以下のようなものがございます。
- 節税対策
- 福利厚生
- 退職金の準備
- 経営危機対策(経営者への保障)
- 事業継承対策
生命保険の場合には、逓増定期保険、長期平準定期保険、がん保険、養老保険、医療保険、生活障害定期保険、収入保障保険そして損害保険では財物損害の補償・損害賠償の保障・従業員のケガなどの補償とございます。
逓増定期保険(ていぞうていきほけん)
保険を契約後、期間満了までに契約当初の金額から5倍まで増加する定期保険で、使用目的としては法人の財務基盤強化や経営者の退職金対策として用いられます。
長期平準定期保険(ちょうきへいじゅんていきほけん)
定期保険の定期保険の中でも長期であり、終身保険に近い死亡保障を得ることが可能となります。
がん保険
がんの診断や治療等の保障のある保険になります。解約金有無によって対策が変わってきます。解約金がある場合は経営者向となり退職金対策そしてがん保障を受けることが可能となります。解約金が無い場合、経営者や従業員対象のものとなり、がん保障(定期型)、在職中そして一生涯のがん保障(終身型)となります。
養老保険(ようろうほけん)
法人を契約者とし、役員や使用人を被保険者にするものです。メリットデメリットについては被保険者が役員もしくは従業員、保険金受取人が法人などによって違ってきます。
医療保険
医療保険には2つの目的がございます。
①事業保障の目的
事業保障の目的では、経営者がお亡くなりになられた時に、業績低迷をカバーしたり、死亡後の後継者が決まるまでの事業資金を補うことが可能となります。
注意点としては、給付金は益金計上そして給付金を個人に支払った場合損金計上となります。
②福利厚生目的
福利厚生を目的としての加入は、法人経営者や役員だけでなく、従業員にも法人負担で医療保険に加入ができることが可能となります。
このように、福利厚生目的での加入となれば、福利厚生規定を作らなければなりません。例えば「役員以上」や「勤続年数10年以上」などございます。
この規定がなく一部の社員のみ加入する場合、福利厚生とは認められず、税務上損金扱いにはなりませんので注意が必要です。
生活障害的保険
定期保険の一種で、一般的な生命保険より保障内容が幅広いのが特徴となっております。保障内容は死亡だけでなく保険会社によりますが、三大疾病に陥った場合や介護が必要になった場合にも対応しているのが特徴です。
収入保障保険
万が一のことが起こった場合、ご遺族に年金方式として受け取ることが可能な保険です。保険期間が定められているため定期保険に分類されます、商品としては2種類ございます。
①確定年金タイプ
保険期間中いつ万が一のことがあっても一定期間の年金が確保されるものとなります。
②年齢による満了タイプ
保険期間が終了時点まで支払われます。
解約返戻金は原則ございませんが、長期のものでは解約編類金がある商品もございます。
加入期間に関しては5年~30年満期、年齢では55歳~85歳のものもございます。
その他の対策
経営者は従業員と違い、退職金はございませんが、将来の年金不安で対策を行っている経営者もいらっしゃるでしょう。
個人事業主や会社役員の場合、退職金対策の代表的なものは小規模企業共済制度を活用して退職金を得る方法がございます。
「後継者が不在」や「完全に引退したい」などの理由で廃業することがあれば退職金対策に有効となります。条件は20人以下の従業員のいる企業で共同経営者を含め2名までで、常時使用する従業員が20人(商業・サービス業については5人)以下となっています。
まとめ
今回、法人保険の種類を述べましたが、保険以外にも小規模企業共済やiDeCoなどの確定拠出年金で対策をされている経営者様もたくさんいらっしゃると思います。
小規模企業共済で退職金対策をしているから良いって方も中にはいらっしゃるかと思います。その対策の中には保障されないものもございます。
FP 國弘