店主執筆記事 【いよいよ購入!】その時にかかる実際の費用は?

2018.10.03


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【いよいよ購入!】その時にかかる実際の費用は?






いざ物件を購入する段階になり、「総額を計算してみると資金が足りない!」というのは、初めての物件購入時におかしがちなミスです。これは、本体価格以外のさまざまな費用を想定しきれていないことが理由です。そこで今回は、物件購入時に必要な費用を節約しつつ、不動産投資の肝ともいえる「実質利回り」を向上させるコツをご紹介します。


物件価格以外にもこれだけかかる! 購入時の費用


物件購入時に必要な費用は、本体代金以外にも「仲介手数料」、「登録免許税」、「印紙代」などさまざまなものがあります。いざ購入する段階になって資金が足りなくならないよう、まずこれらを把握しておかなくてはなりません。


○物件購入時の諸費用一覧
・印紙税…売買契約書や建築請負契約書に貼る収入印紙の費用
(契約書に記載されている金額によって200円~48万円に変動)
・登録免許税…不動産登記時に必要な税金
・登記手続きの報酬…不動産登記手続きを司法書士などに依頼した時の報酬
・仲介手数料…不動産の売買を仲介した不動産会社に支払う手数料
・不動産取得税…土地や建物を取得した時に支払う地方税
・固定資産税及び都市計画税…その年の税額を日割りして支払う税金
・融資事務手数料…金融機関から購入資金の融資を受ける場合に支払う手数料
・ローン保証料…金融機関から融資で、保証会社を利用する場合に支払う費用
・団体信用生命保険料…住宅ローン借り入れの際に必要な保険料(金利に含まれている場合あり)
・火災保険料…住宅ローン借入時に、物件にかける保険料


物件購入時には、これだけの費用がかかります。この中でも、特に金額が大きくなりがちなのが、「仲介手数料」と「ローン保証料」です。ただし、最近の不動産投資ローンでは、「事務手数料のみで保証料は不要」といった商品も増えています。そこで特に「仲介手数料」について知っておく必要があるでしょう。


○仲介手数料の仕組み
投資物件を購入する時、不動産会社に仲介手数料を支払いますが、これは宅地建物取引業法で上限値が決められています。したがって、その範囲を超える手数料は法令違反となります。


・仲介手数料上限額
1.売買価格が200万円以下の部分…売買価格の5%+消費税(実質5.4%)
2.売買価格が200万円超400万円以下の部分…売買価格の4%+消費税(実質4.32%)
3.売買価格が400万円超の部分…売買価格の3%+消費税(実質3.24%)


この式に当てはめて計算した金額が仲介手数料の最大値であり、これ以下の金額でのみ交渉が可能です。例えば、1,000万円の投資用マンションを購入する時の仲介手数料上限額は、1の部分(200万×5.4%=108,000円)+2の部分(200万×4.32%=86,400円)+3の部分(600万×3.24%=194,400円)=388,800円です。


ただし、これでは計算が面倒です。もっと簡単に計算するには、「売買価格の3%+6万円+消費税」でも総額を算出できます。購入価格が400万円を超える場合は、こちらの計算式が便利です。


○仲介手数料は最大の節約ポイント
物件購入時の諸費用一覧を見てわかるとおり、不動産購入時の費用は、大半が「税金」もしくは「手数料」です。つまり国や金融機関があらかじめ決めている料率にしたがって支払うものばかりであり、節約が難しいという特徴があります。その中で仲介手数料は、ほぼ唯一といっても過言ではない、「交渉が可能な費用」です。


例えば、「仲介手数料が半額」をうたっている業者とそうでない業者では、1,000万円の物件を購入した時の手数料が20万円近く変わってきます。また、物件の購入価格に関わらず、仲介手数料が固定(一律10万円など)されている業者も見かけるようになりました。さまざまな業者を比較し、仲介手数料を節約していきましょう。これは「実質利回り」の向上にも役立ちます。



投資物件は「実質利回り」が重要


ネット上ではよく「利回り15%以上」などという、かなり高利回りな物件を宣伝する文句を見かけます。これは間違いではないのですが、大半が「表面利回り」のことを指しています。「表面利回り」とは、年間の家賃収入(満室時)の総額を、物件の購入価格で割り戻した数字のことです。例えば4,000万円で購入した総部屋数8室のアパートを、家賃5万円で運用した時の表面利回りは以下のとおりです。


・5万円×8×12か月÷4,000万円×100=12%


ただしこの数字は諸費用などを一切考慮していないため、あくまでも物件を探す時の目安にしかなりません。実際に投資用物件を購入、運用する時の利回りは、諸費用を計算に含んだ「実質利回り」が重要になります。実質利回りは、年間の家賃収入から管理費や固定資産税などを差し引き、それを物件購入価格+購入時の諸費用で割り戻した数字です。つまり、管理費や購入時の諸費用が少なければ少ないほど、利回りが上がっていくことになります。



諸費用の節約が実質利回り向上の鍵


では実質利回りを向上させるためには、どんな節約の方法があるのでしょうか。前述した「仲介手数料の節約」の他には、以下のようなポイントに着目すべきです。


・管理手数料
・修繕費(リフォーム費用)
・その他移動に必要な交通費など


これらは購入時の諸費用とは異なり、実際に物件の運用を続けていく中で常に必要な「ランニングコスト」です。ランニングコストをいかに節約できるかも、実質利回りを向上させる秘訣です。


まず、管理手数料についてです。最も節約できる方法は、物件の維持管理を専門業者に頼まず、自分で行うことでしょう。つまり自主管理ですね。自主管理をすれば、管理手数料そのものが不要ですから、確かに効果は大きいです。しかし、戸数の多い物件や複数の物件を単独で維持・管理しつづけるのは、かなりの手間を要します。


物件同士の距離が離れていたり、最寄り駅から遠かったりすると、移動にかかる費用(交通費)も必要です。時間と労力まで含めて考えると、割に合わないことも多いでしょう。この辺りは、それぞれのコスト見合いにより、判断していく必要があります。


次に、修繕費についてです。こちらはリフォーム業者に一括発注するよりも、ポイントを絞って個別に発注したほうが、費用が安くなることがあります。例えば、電気・水道・内装を全て単一のリフォーム業者に発注するのではなく、電気工事業者や水道業者、内装業者、に個別発注するという方法ですね。ただし、リフォーム業者でも一括発注で安く工事を請け負うこともあるため、必ず相見積もりをとって比較すべきです。


また、施主支給(工事に必要な部材を自分で手配すること)を活用することでも、修繕費は抑えられます。自分で材料を調達し、工事だけを業者に頼むわけです。こうすることで、トータルコストが安くなり、結果的に実質利回りが向上することになります。さらに、簡単な修繕やリフォームならば、自らDIYで行えば大幅なコスト削減が可能です。ただしこちらも管理手数料と同じく、時間や労力との兼ね合いによるといえるでしょう。



ネット上の利回りを鵜呑みにしてはいけない


このように物件の購入・運用にはさまざまな費用がかかります。ネット上で公開されている「表面利回り」は、こういった諸費用を含んでいない「ざっくりとした目安」程度のものと考えてください。実際には本記事で紹介したような費用のうち、どれを節約するか取捨選択していく作業が必要となります。
特に「仲介手数料」、「管理手数料」、「修繕費」などは金額も大きくなりますので、複数のパターンを考えて節約することが大切です。
全てを業者に丸投げにせず、地道な計算と管理を行うことが、「実質利回り」向上のコツとなります。


富田浩司 (ファイナンシャルプランナー)


富田FP事務所 代表


ゴールドマンサックス証券などの勤務を経て2007年に富田FP事務所を設立。主に、子育て世帯のマネープランをテーマに、講演、執筆活動などを行い、金融リテラシー向上に努める一方、FP相談では本音で話し、本気でサポートするFPとして、多数の顧客から支持を得ている。


<得意分野>
ライフプラン(マネープラン)コンサル、子育て・教育資金コンサル、長期分散投資コンサル、保険新規見直しコンサル、不動産購入・不動産投資コンサル、節約経費削減コンサル、法人税金対策コンサル


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