誰に死後を託すのかという問題について考えておきたい

2017.11.25

人生の最終段階における医療をどうするか

 

人生の最終段階における医療をどうするかという点で、自分らしい最後というテーマが大きく取り上げられている。
 元気なうちに、人生最終段階における医療に関する本人の希望を書くことを高齢者に提案する自治体も出てきている。本人がおこなえないときに代わって医療やケアを判断したり、決定したりする人の連絡先のほか、延命治療の可否など本人の意思をあらかじめ記入しておく書類を作成している。自治体独自で作成したエンディングノートを住民に無料配布し、どう死を迎えたいか、あらかじめ意思表示をしてもらう試みを始めている。
 しかし、元気なうちに話し合ったり、考えたりする人は多くない。家族やまわりの人と話し合っておく必要があるのは、必ずしも患者本人の考えと家族の意向が同じではないことがあるからだ。自分は延命治療をしてほしくないが、家族のこととなると別に考える、という人は少なくないはずだ。

 

人生の最終段階にいたるまでの生の質をどうするか

 

 人生最終段階における医療について元気なうちに考えておくことも大切だが、治る見込みがない患者やその家族にとっては、人生の最終段階にいたるまでの生の質も重要だ。患者が人生においてもっとも大切にしていること、残された時間でやっておきたいこと、心配や不安なことなども医療者や家族などまわりの人たちと共有することだ。症状の進行によっては患者や家族の心境は変化するかもしれないが、定期的なコミュニケーションで、患者の意思を最大限に尊重できる。


誰もがひとり

 

お葬式やお墓について考えておくことも大切だ。自分のことが自分で出来ない以上、誰かの手にゆだねるしかない。元気なうちは、近所づきあいや地域住民との人間関係は煩わしいと思っても、いざ困ったときには頼る人がいないという事態に直面する可能性は誰にでも起きる。無縁死を防ぐには、地道な活動かもしれないが、地縁や血縁にこだわらない穏やかな関係性をいかに築くかが問われている。

 

 

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