住まなくなった実家を相続する際の問題点と対策
2016.07.25
空き家が社会問題になって久しい。資金面で余裕があれば住まない実家をそのまま保存する方法もあるが、二次以降相続が発生した場合現実的には難しい。そこで今回は住まなくなった実家を相続する際の問題点と対策について紹介したい。
小規模宅地等の特例は利用できない
「小規模宅地等の特例」とは、自宅の土地の相続税評価額が330㎡まで8割減になる制度だ。一次相続で母親が相続し相続税がかからなかったとしても、二次相続で同居の子がいなければ特例は利用できない。
固定資産税の軽減制度が廃止される
空き家であってもこれまでは土地の固定資産税は6分の1に、都市計画税は3分の1に軽減されていた。更地にするとこの軽減税率がなくなるので、空き家のまま放置する原因になった。しかし、このままだと草木が伸び放題となり環境が悪化する、地震で倒壊する、放火で火事になる等様々な問題が発生する。
そこで国はこの問題を食い止めるため、固定資産税軽減制度の見直しを行った。その結果、2015年5月空き家対策特別措置法が施行され、特定空き家の持ち主に対し、自治体が撤去や修繕を勧告できるようになった。ここで特定空き家とは、倒壊の恐れや衛生上問題のある空き家のことを言う。
この勧告を受けると、固定資産税の軽減を受けることが出来なくなる。そうすると空き家の固定資産税は膨れ上がる。
空き家管理サービスが提供されているが
空き家はメンテナンスをしないとすぐに荒れてしまうので時々訪れて空気を入れ換えたり雑草の手入れをしなければならない。空き家管理サービスが提供されているものの複数年にわたると管理コストも重くのしかかる。
対策
相続した実家を売却した場合、それにかかった相続税を経費として計上できる仕組みがある。それを利用するには、相続税の申告期限から3年以内に売却しなければならない。金銭面だけで売却するかどうかの決断はできないかもしれないが、売却するとすれば3年以内にするのも手である。
この記事を書いた専門家
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岩橋 栄子
ファイナンシャルプランナー 岩橋 栄子
13 20
- 得意分野
- 高齢者福祉・障害者福祉、もめない相続、現物件は賃貸か売却か、優雅な老後を海外で暮らす