資産運用は必要なのか?

2015.09.23

名目価値と実質価値について


皆さんはインフレ・デフレという言葉を聞いたことはあるでしょうか。
お金の本質的価値は、他の財産と交換できるという点にありますが、例えばインフレの状態になると交換する予定だった他の財産の価格が上がってしまい、想定よりも少ない財産としか交換できなくなっていく状況をいいます。デフレはその逆の状態です。

最近まで日本はデフレでしたが、現金を持っているだけで交換できる財産の量が増えていく状態でした。よい事の様に思えますが、実際は深刻です。価値がどんどん下がっていく他の財産にわざわざ交換しようと考える人が少なくなり、消費が冷え込みます。消費が冷え込むと、それらを販売していた企業の経営が悪化しやがて不況が訪れます。その為、デフレ状態を避けようと様々な対策が実施されているワケです。

現在も日銀の金融緩和は実施されており、日本の経済はインフレへと向かいつつあります。インフレ時は交換予定であった他の財産の価値が上昇する為、現金のままでは実質的価値は徐々に目減りしていってしまいます。

戦前の1万円は家が建つほどの大金でしたが、現在の1万円ではとても家は建ちません。
私たちの感覚だと1000万円は大金ですが、50年後の1000万円は果たして今と同じ価値のままでしょうか?

貯蓄によって得た大事な資産の実質的な価値を守る為には、インフレ率に負けない程度には利息を得続けなければなりません。
利息というと銀行預金が思いつきますが、1990年には定期預金で6%もあった預金も金利の低下により、今では無利息に近い状態です。銀行預金以外の方法で価値の保全に務める必要があるのです。


特に老後の貯蓄や子供の教育資金など長期間貯蓄する必要のある資金はインフレ時の実質価値下落の影響を受けやすくなります。
例えば、現在3000万円を老後資金として備えていても、1%のインフレに25年間さらされた場合、物価の値上がりにより3000万円の実質的価値は2340万円となります。何もしなかった場合、実質的価値は1/3程低下してしまいます。この価値の低下を補う為に資産運用が必要となる訳です。もちろん元本割れが発生してしまえば、上記の価値の低下も相まって何もしなかったときより大きく損をしてしまいます。

基本的なスタンスとしては、こうした資金を利益を上げて増やそうとするのではなく、インフレによる実質価値の低下を防ぐのを目的として、NISAや確定拠出年金など税制面で優遇される制度を利用しつつ投資・運用することをオススメします。

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