日本版ISA(NISA)って一体何?
2013.05.17
日本版ISA(NISA)とは、少額投資非課税制度とも呼ばれるものであり、2013年末に上場株式等の譲渡益や配当などに対する軽減税率が廃止されるのに伴い、2014年から創設される予定となっています。これは、もともと英国で採用されているISA(個人貯蓄口座)制度を参考にしたところに由来しています。
それではこの日本版ISAとは一体どのような仕組みなのでしょうか。ここでは、日本版ISAの仕組みについて簡単にではありますが解説していきます。
日本版ISA、いよいよ創設へ
2014年から実施見込みの日本版ISAの概要は<表1>のとおりとなります。日本版ISAの特徴は、その年の1月1日時点で満20歳以上の居住者等が、年間で1人1口座だけ非課税口座(100万円上限、最大で5年間で500万円)を開設できる点です。この制度を利用することで非課税口座における投資から得られる値上がり益や配当・分配金が最長5年間非課税となります。
非課税の対象となる金融商品は、具体的に言えば、証券取引所に上場している株式等、外国の証券取引所において売買されている株式等、ETF、J-REIT、株式投資信託などが該当します。つまり、リスク性商品に限定されており、預金など安全性の高い金融商品は含まれていません。なお、公社債や公社債投信は今のところ非課税の投資対象とはなっていません。
上限である100万円を満額利用したい場合には、上限金額まで購入しやすい投資信託が候補としてあがるといえます。また、一度に購入する必要はなく、例えば積立投信によるコツコツ購入も制度上可能となっています。そのため、例えば毎月8万円ずつ購入し、年間で96万円利用するといった方法も考えられます。
表1:日本版ISAの概要
非課税対象 | 上場株式・公募株式投資信託の配当・分配金、譲渡益 |
非課税投資額 | 口座開設年に、新規投資額で100万円を上限(未使用枠は翌年以降繰越不可) |
非課税投資総額 | 最大500万円(100万円×5年) |
保有期間 | 最長5年間、途中売却は自由(ただし、売却部分の枠は再利用不可) |
口座開設数 | 原則1人1口座 |
開設者 | その年の1月1日において20歳以上の居住者等 |
口座開設期間 | 2014年から2023年までの10年間の各年 |
口座開設期間は2014年から2023年の10年間。10年間毎年開設可能であり、口座開設年に、新規に投資された100万円を非課税投資額の上限とし、100万円未満の場合には未使用枠を翌年に繰り越すことはできません。
また、非課税の期限内である5年以内に途中売却することは自由であるものの、いったん売却してしまうとその売却分の非課税枠は再利用不可となります。
そのほか、注意点としては、非課税口座内での投資において譲渡損失が発生した場合です。この譲渡損失に関しては、所得税および住民税の計算上、他の上場株式等の譲渡益と損益通算することができず、翌年以降に損失を繰り越すことができません。
メリットもデメリットもあるNISA。短期~中期の投資はNISAで、長期での投資は確定拠出年金で、などと運用をわけて行うことがコツかもしれませんね。
表2:日本版ISAと確定拠出年金の違い
| 日本版ISA | 確定拠出年金 | 確定拠出年金 |
対象者 | 20歳以上の居住者等 | 日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者とその家族など | 確定拠出年金(企業型)を導入する企業に勤めているサラリーマン |
限度額 | 年間100万円×5年(最大500万円) | 国民年金第1号被保険者の場合、月額68,000円 | 確定給付型の企業年金を実施していない場合、月額51,000円 |
換金 | 途中換金可能。ただし、非課税枠はと中間期までしか利用不可 | 原則、60歳以降まで途中換金不可 | |
課税 | 非課税期間内(最大5年)であれば非課税 | 運用時は非課税、換金時は年金で受け取る場合には公的年金等控除の利用可、一時金で受け取る場合には退職所得控除の利用可 | |
対象となる金融商品 | 上場株式、公募株式投資信託など | 預貯金、公社債、投資信託、株式など(実際に取り扱われている金融商品) |
この記事を書いた専門家
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伊藤 亮太
スキラージャパン株式会社
13 2 日本橋3-2-14日本橋KNビル4F
- 得意分野
- 金融資産運用設計、ライフプラン・リタイアニングプラン、相続事業承継設計など